ローンは借金だ。一刻も早く返済したい。
住宅ローンは借金です。
返せるものなら少しでも。そんな気持ちは誰しもあります。
金利なんて払いたくない。
当たり前の感情です。

他の人は、何年で住宅ローンを返済しているのか
第1位 | 10年以下 33.1% |
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第2位 | 15年以下 30.5% |
第3位 | 20年以下 17.2% |
第4位 | 25年以下 10.6% |
第5位 | 30年以下 8.6% |
2016年度 平均15年
2015年度 平均14.4年
2015年よりも2016年は0.6年伸びています。(繰り上げ返済が減った)
※住宅金融支援機構 2017年度 民間住宅ローン貸出動向調査結果 よりデータ引用
繰り上げ返済にかかる返済手数料

一部繰り上げ返済手数料
三菱東京UFJ銀行:インターネット 無料 窓口 16,200円
りそな銀行:インターネット 無料 窓口 5,400円
(固定金利の場合32,400円)
三井住友銀行:インターネット 無料 窓口 5,400円
みずほ銀行:インターネット 無料 窓口 32,400円
フラット35:無料
期限前完済手数料
三菱東京UFJ銀行:インターネット 16,200円 窓口 32,400円
りそな銀行:インターネット 取り扱い不可 窓口 10,800円
(固定金利の場合32,400円)
三井住友銀行:インターネット 5,400円 窓口 10,800円
みずほ銀行:インターネット 無料 窓口 32,400円
フラット35:無料
「期間短縮型」と「返済額減額型」 繰上返済の種類
「期間短縮型」-当初35年返済予定で借りた住宅ローンを繰り上げ返済を行う事により、期間を35年から30年などに短縮する方法
「返済額減額型」-月々の返済額10万円を繰り上げ返済する事によって、月々8万円などに減額する方法
繰り上げ返済のメリット

上記例で当てはめると
5年短縮⇒5年分の金利
返済額減額⇒減額された金額に対しての金利
これらが無くなります。
実際に「金利」っていくら払っているの?
2000万円借入⇒約293万円金利支払い⇒総支払額2293万円
3000万円借入⇒約440万円金利支払い⇒総支払額3440万円
4000万円借入⇒約587万円金利支払い⇒総支払額4587万円
5000万円借入⇒約734万円金利支払い⇒総支払額5734万円
※それぞれ端数の金額切り捨て
※金利0.8%・35年返済・ボーナス併用なしで計算します。
「期間短縮型」と「返済額減額型」はどちらがお得?

それぞれのメリット
期間短縮型ー返済額は変わらないが、「早く」住宅ローンの返済が終わる。
返済額減額型ー借入年数は変わらないが、月々の返済額が減り、月々の生活に余裕が生まれる。
シュミレーション

借入額3000万円 金利0.8% 35年返済 ボーナス返済無し
借入から3年後に100万円繰り上げ返済。
期間短縮型ー1年1か月期間短縮 金利272,990円減額
返済額減額型ー月々2,953円減額 金利133,952円減額
上記同条件
借入から5年後に300万円を繰り上げ返済。
期間短縮型ー3年7か月期間短縮 金利743,369円減額
返済額減額型ー9,376円減額 金利375,360円減額
いずれのシュミレーションも期間短縮型の方が、より多くの金利負担分を減額させることに成功しています。(得しています。)
シュミレーション上の注意点(重要ポイント)
繰り上げ返済とは、できるだけ得にするためにはポイントがあります。
金利が高い場合の方が有利。
返済タイミングは早い方が有利。
繰り上げ返済額が多いほど有利。
この3点です。
逆に言い換えると、
金利が安いほど不利。
返済タイミングが遅いほど不利。
繰り上げ返済額が少ないほど不利。
となります。
現代の金利は、最安で0.4~0.5%。
参考にしている資料もしくは、シュミレーションの金利は、しっかりと現代の金利に当てはめて計算していますか?
また、返済時期について「1年後」など早い時期に設定されていませんか?
これらが違うと、あたかも、繰り上げ返済の金利減少分が大きく見えます。
つまる繰り上げ返済は得だと勘違いしやすいポイントなのです。
そもそも家を購入してから3年で100万円以上の貯金は難しい。
月々3万円の貯金が必要となります。
引っ越した直後、家具を揃えたり、生活を落ち着けるため、多少の資金が必要になります。
その上、繰り上げ返済のために、3万円ずつの貯金は非常に難しいです。
また、それだけ余裕があるようでしたら、繰り上げ返済ではなく、頭金として入れた方が得になります。
繰り上げ返済をするという事は、貯蓄が減ります。
無理をして行った結果、「繰り上げ返済貧乏」にならないよう気をつけて下さい。

住宅ローンの強い味方。「住宅ローン控除」

住宅ローン控除とはどのような制度なのか。
分かりやすく解説いたします。
・住宅ローンを組んでいる人は税金が控除になります。(安くなります)
・安くなる期間は10年間
・年末の住宅ローンの残高の1%(2000万円であれば、20万円)が最高で戻ってきます。
・上限住宅ローンの金額は4000万円か5000万円(つまり最高、控除額は40万円か50万円)
・所得税もしくは住民税の金額が戻ってきます。
・所得税は毎年、年末もしくは年始頃に会社から渡される「源泉徴収票」の右端に所得税金額が書いてある。住民税は6月頃会社から渡される、「住民税決定通知書」に書いてある。
・しかし、年間に住宅ローン残高1%以下の金額を税金として支払っている場合は、支払っている税金分のみ返金。(つまり年収高い人は、多く税金を払っているので、この制度上有利)
例えば年収400万円の方は、
所得税約10万円
住民税約16万円
くらいなので、合計26万円控除対象の税金を支払っています。
つまり、2000万円借入すると最大控除1%は20万円ですので、6万円損をします。
逆に3000万円借入をすると最大控除額1%は30万円なので、4万円損します。
2600万円借入すると、最大控除額1%は26万円ですので、この制度をフルに活用できるという訳です。(あくまでも目安です。)
これが10年間続きます。
すると、最大260万円税金が還付になり、得をします。
※厳密には、年末ローン残高は年々減少していくため、また年収も上がったり下がったり流動的なので、このようなピッタリの数字にはなりません。
住宅ローン控除は10年間続く。早めの繰り上げ返済は、控除額を減らしてしまいます。
住宅ローン控除は、10年間続きます。
これは年末残高1%が控除額ですので、繰り上げ返済をして残高が減ると、控除額も必然的に減額されます。
これは、細かい計算式によって、繰り上げ返済の最適なタイミングが分かりますが、控除額を減らしたくないようであれば、繰り上げ返済は10年後以降にしましょう。
住宅ローン控除により、金利はほぼ相殺される?
上記の例に当てはめて、借入額2600万円 金利0.8% 35年返済の場合。
2600万円借入ー金利381万円⇒総支払額2981万円
ここに、住宅ローン控除分が最大で約260万円だと仮定すると、
金利381万円-住宅ローン控除260万円=実質金利負担121万円
これは35年での金利ですので、年単位、月単位に直します。
年ー3.45万円の金利負担
月ー2800円の金利負担
月々の金利は2800円しか負担していない事になります。
月々約2800円しか金利を払っていない事実。無理して繰り上げ返済は必要?
確かに、住宅ローンを支払っている期間は短くなったり、月々の金額が数千円安くなる安心感がメリットと言われれば確かにそうかと思いますが、利益が出ない以上、私はおススメ致しません。
なぜならば、別の不安が生まれるからです。
繰り上げ返済を行えば、当然の事ながら、貯蓄が少なくなります。
貯蓄が少なくなると、いざ転職をするとき、奥様が出産で働けなくなるもしくは産休によって給与の減額を受けたり、車を買うとき、お子さんが進学する際、もっと金利の高いローンを組んでしまったりするからです。
つまり、別の負債が生まれる訳です。
これはメリットどころか、大きなデメリットとなります。
繰り上げ返済の資金を使って、別の投資を考える。

金利が0.8%もしくは最大で0.4~0.5%などで借りられる以上、
年利2%以上の資産運用ができれば、金利負担以上の利益を生み出します。
最近では確定拠出年金(通称iDeCo)などもスタート致しました。
こちらのメリットは、
①掛け金全額 所得控除(所得税・住民税が安くなります)
②運用益に税金がかからない。(通常、金融商品で運用益が発生した場合、約2割の税金がかかる)
もちろん資産運用ですので、自身の選択によっては、マイナスが出てしまう可能性もありますが、上記2点のメリットはとても良いと思います。
また、老後の資金に備えるというポイントも安心だと思います。
他にも様々な資産運用商品はありますので、是非調べてみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
難しい内容かと思いますが、2点だけ抑えてほしいポイントがあります。
①繰り上げ返済をする場合の条件(金利・金額・時期)
②住宅ローン控除の存在で、ほぼ住宅ローンの金利負担は相殺されている。
もちろん、各個人の状況によって、内容は変わりますが、繰り上げ返済によるメリットはさほど無いかと思われます。
インターネットで調べていたら、「1000万円の繰り上げ返済をする」というシュミレーションまで出てきました。
まずそれらは、現実的ではないでしょう。
少なくとも、これを実行できる方は限られているかと思います。
今一度、冷静に、繰り上げ返済をした際のメリット(金利減額分)を計算してみる事をお勧め致します。
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