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不動産売却

不動産営業マンがぶっちゃける「不動産価格査定」の真実

不動産価格の査定方法

不動産を売却する際、まずは「価格査定」を依頼するかと思います。

では、不動産営業マンは、査定に伺って何を見ているのか。

何を考えているのか。

営業マンの立場でお話致します。

専任媒介契約or一般媒介契約

不動産の売却をする際は、委任契約の種類として、3種類あります。

「専属専任媒介契約」-どんな買い手でも、成約すれば必ず、不動産会社に手数料を払う。2週間に一度、売却状況を報告しなければいけない。

「専任媒介契約」-自分(売主)で見つけた買主以外の全ての買い手が成約した場合、不動産会社に手数料を払う。2週間に一度、売却状況を報告しなければいけない。

「一般媒介契約」-複数社の不動産会社に同時に依頼をすることができる。しかし、2週間に一度の報告義務なし。

不動産会社は専任媒介の取得を狙っている。

不動産の手数料というのは、1か0です。

もらえるかもらえないかです。

中途半端なものは無いのです。

頑張ったから、御社にも10万円払いますなどということはありません。

つまり、「成約」しないと収入になりません。

という事は、ライバル会社がたくさんいる「一般媒介」は手数料がもらえる可能性が低い。=努力できない。努力したくない。専任優先で一般媒介は後回し。という事です。

(分かりやすく簡単にお伝えするとです。)

専任媒介(売却依頼)をお客様から頂くためには。

当然、価格査定に呼ばれたのは1社(自分だけ)ではなく、複数社見積もりを取っているだろうと営業マンは考えています。

すると、お客さんを想定してではなく、ライバルの不動産会社を想定して、水面下で価格競争が始まります。

つまり、ライバル会社よりも「高く売ります」と宣言した方が気に入られる率が高いのです。

なぜそこまで、専任媒介契約にこだわるのか。

上記でご説明した通り、「手数料になる可能性が高いから」というのも、もちろんあります。しかし、それが「建前」の営業マンもいるのです。

実は、不動産会社の内部的に、「専任媒介契約の数」が給与の評価対象にすらなっている会社もあります。

つまり、その物件が売れても、売れなくても、多少のインセンティブ(報奨金)が会社から支給されるのです。

そのような、小銭稼ぎ目当ての営業マンがいるのも事実。

ライバル会社に勝てるように、相場より高く価格設定というけれど、どのように相場を割り出しているか。

路線価、不動産価格の動向・推移、公示価格その他、さまざまな根拠が頭に浮かびますが、どれも違います。

不動産流通機構の成約事例価格

全ての営業マンがそうだとは断言はしません。しかし、圧倒的に可能性が高いのは、これです。

不動産流通機構という、不動産会社のみが見れるサイトがあります。

これには、ID・パスワードが必要で、一般の方は見る事が出来ません。

ここには、過去の成約事例がたくさん登録してあります。

そこから、場所や広さ、物件種別(マンションとか中古住宅とか)などの条件が近いものをピックアップして、おおまかな相場を割り出します。(類似物件)

特にマンションだと非常に分かりやすいです。

階数が違くても、間取りも広さも同じような物件が、そのマンション内の事例としてたくさん出てくるからです。

算出方法

(坪単価)というものを算出します。

1坪とは約3.3㎡です。

(成約事例価格)÷何坪=坪単価

 

仮に、成約事例坪単価が40万円であれば、

40万円×(査定物件の坪数)=お客様に提示する査定額

という事になります。

 

で、あとは、これに肉付けをするのです。(後述)

実際にお客様の部屋を見て、どこを見てる?

「室内の状況」

ここのみだと思います。

リフォームがどれくらい必要か。それだけです。

眺望だとか、日当たりなんて大体わかります。

管理人・管理会社、役所、法務局を回れば、物件について大体の事は、既に知ってます。

残すは室内の状況のみ。

上記の坪単価計算で出した、査定額に対し、リフォーム想定額を引く。

するとお客さんへ提示する査定額(完成形)が出来上がるのです。(肉付け)

その査定額に少し、上乗せして、ライバル会社に差をつけたりして、専任媒介契約取得を狙います。

査定に行く理由

すごく単純なお話をさせて頂きますが、室内を見るだけであれば、伺う必要なんてありまません。

写真をメールなどで頂けば良いのです。

しかし、お伺いする理由は実は、他にもあるのです。

「ローンの残債を聞き出す」

「ライバル会社の存在を聞き出す」

「売却事情を聞き出す」

主に、この三つが主流です。

その他もあるかと思いますが、この三つが重要です。

 

なぜなら、当然専任媒介契約をもらう事が最優先でありますが、できれば、低い価格(安い価格)で依頼を受けた方が、売れやすいので手数料につながります。

しかも、早期に売却が出来ます。すると会社の経費も少なくて済みます。

矛盾していますが、ライバル会社よりも印象をよくして専任媒介をもらう事が最優先だが、その中でもお客さんが納得する「最安の価格」で依頼が受けられるよう、その落としどころを探っています。

お客様の事情から何が分かるのか。

上記で述べたように、「残債の額」「売却事情」「ライバル会社の有無」を聞き出します。

これから何が分かるのか。

ローンの残債

お客さんとしては、売却しても、ローンが残る事が一番嫌です。

なので、上記、査定額はさておき、これよりも低いようだったら、上方修正します。

つまり「高く売れるかもしれない」と宣言します。

逆に、この金額よりも高い査定額であった場合、その残債額に合わせ、ギリギリまで価格交渉をして、値段を下げた状態で、専任媒介を取得しようとします。

また、預金額も併せて聞き、もし残債よりも低い成約だった場合、残債に充当できるかどうかを探ります。

ライバル会社の存在

何社で見積もっているか。

ライバル会社はどこなのか。

 

まぁ教えてくれる訳ありません。

それなので、お部屋にある資料などを見つけたり、名刺などが置いてあれば、それをチェックしたりします。

 

ここで、判断するのは、勝負に出るか、出ないかです。

 

専任媒介を最優先に取得することだけを目的とするのか。

専任媒介を取得した上で、売却しやすい価格で提案するのか。

もしくは、買取に話をもっていくか。

買取が成功する事が実は一番利益率が高い

売却事情

買い替え先(欲しい物件)があるとか、お金に困っているとか、要は売却事情に緊急性があるかどうかです。

それらの場合、上記でも触れた、買取に話をもっていきやすいからです。

もしくは、専任媒介だとしても、格安物件として依頼を受けて、手間なく販売できる可能性が高くなるからです。

ここまでの話を総合して。

不動産営業マンは、下記を中心に考えています。

・専任媒介契約のみで小さなインセンティブ

・相場よりも安く専任媒介契約を取得して、成約に結びつけ大きな歩合給

・最大の歩合給、「買取」を目指す

このどれに当てはまるか、交渉材料として、「査定」という制度があります。

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買取とは何か。

その名の通り、対象不動産を即金買取することを指します。

ではなぜ、最大の利益率となるのか。

買取価格の算出方法

上記、(成約事例価格から算出された金額)-リフォーム費用-利益300万円~1000万円-諸経費(買取にかかる費用)=お客様ご提示買取価格

なぜ、そのような算出方法なのか。

リフォーム費用について

不動産業者は、物件を買取り、一般の方に販売する場合、2年間の瑕疵担保責任が発生します。

つまり設備が古いままだと、故障する可能性を秘めています。

それが水漏れなどの場合、下の階などに影響を及ぼしたり、家具に影響を及ぼしたり、ロクな事がありません。

それであれば、買い取った段階で、リフォームをして、点検してから、渡した方が、返って安心なのです。

 

利益額について

不動産の値下げは、ほとんど、10万円単位ではなく、100万円単位で行われる場合が多いのです。

なので、利益額を仮に300万円に設定した場合、一度値下げしただけで、既に、200万円しか利益が出ないのです。

「しか」と申し上げましたが、そもそも200万円であれば、「仲介手数料収入(専任媒介契約)」でも変わりませんし、買取から再販売までは時間もかかるのです。

物件買取(2ヵ月程度)⇒リフォーム期間(2ヵ月程度)⇒再販売期間(2ヵ月程度)

最低でも半年くらいはかかるのです。

半年かけて設備の保証もつけて、200万円の利益であれば、不動産会社に買い取るメリットはありません。

最低でも400万~500万の利益はシュミレーションしておきたいところです。

 

諸経費

所有権移転登記費用、不動産取得税、金利負担、広告販売費等。

仲介では発生しないであろう費用がかかるので、これを差し引きます。

 

よって買取価格とは、総じて激安になってしまうのです。

買取は安くなります。

それもかなりの格安になります。

それであれば、専任媒介で、相場よりも少し安く売却した方がお客様にとっては良い結果となるでしょう。

※しかし、緊急性のある事案を除く

 

番外編(読者様からのご質問)

またしても、うれしいことに、ご質問を頂きました。

現在、賃貸中の物件がなかなか成約しない。安くても良いのに。なんで?

これは、2パターン考えられます。

(状況も物件も分からないため、断定はできないですが。)

 

パターン1 営業マン都合

これも内部の話ですが、非常にプライドの高い営業マンも存在してます。

「俺がプロとしてお客さんに提示した金額なんだから、やすやすと下げる訳にはいかない」

まぁ、営業マンの独りよがりというものです。

「プライドにかけて~」とか案外よく聞く言葉なのです。

プライドはどうでもよいので、売った方が良いよ、と隣で聞いてます。

 

もしくは、やる気がない。単純に行動が遅い。仕事ができない。などがあります。

 

パターン2

一般的に、「賃貸中」(オーナーチェンジ通称オナチェン)よりも「空室」物件の方が高く売れます。

つまり、今は賃貸中だから「相場価格」ですけど、空室になった場合、その価格が「買取価格」になる場合があるんです。

賃貸中物件価格は、空室物件価格よりも安く設定している場合が多いので。

すると、空室を待てば、買取チャンス到来になる訳です。

賃貸中は室内が見えない分、買取を禁止している会社もあるほどです。

(逆もまたしかりで、賃貸中専門の会社もありますが。)

ちないに、なぜ、賃貸中より空室が良いのかは、使用用途が投資目的だけでなく、実需としても使える需要が増えるからです。

 

一括査定サイト

よく、不動産ブログでも、アフィリエイトなのか分かりませんが、勧められている記事がありますね。

売却査定は1クリックで複数社一斉送信、みたいなものです。

これ、よく届くのですが、不動産会社としてはほぼ目に止めてません。

とりあえず、すごくアバウトには返しますが、お昼ご飯を食べる頃には存在を忘れています。

いや、逆の立場になって考えて頂ければ分かりますが、そんな複数社に査定依頼出されても、ライバル多すぎです。さらに、個人情報も全て隠されて送られた日には、最早迷惑メール一歩手前です。

だって、室内も分からないですし、実在するお客さんなのかすら、不明。

たまに、不動産業者が送っている事もありますし。

この一括サイトからの成約はもの凄く、成約確率低いんです。

冒頭にも申し上げましたが、不動産の収入は1か0な訳です。

得体のしれない依頼で時間を使うよりかは、実際に会えるお客さんを優先するのは至極当然だと思いませんか?

お客さんが軽い気持ちで送っていれば、当然業者も軽い気持ちで返します。

最後に。

これは、私の主観も入っていますので、全部が全部そうであるという事はないですが、結構多いと思います。

ちなみに、私自身の査定方法・手法は、また違います。

(ちょっとだけ、お話すると、まず私は、ライバル会社の中でも一番安く、査定額を出す事が多いです。まずここから違います。そのあとは企業秘密という事で( *´艸`))

逆に、このような相談を頂き、私が担当となり、成約させて頂くことも少なくありません。

 

お客さんは「成約」を望んでいます。

 

つまり、その目的に沿うのが、営業の務めです。

それを最速かつ手間をかけず、納得の価格で。

 

「売りたいけどなかなか売れない」という悩みを解決するためには、お客様自身が多少なりとも相場を勉強し、営業マンをどんどん動かす、利用することが一番だと思います。

販売状況を見ながら、「もう値下げして」などと積極的な指示を出したり。

 

ちなみに本サイトでは、査定は受け付けておりませんので、ご了承下さい(^_-)-☆

では、ここまで読んで頂き有難うございました(^_-)-☆

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