Contents
不動産売買契約の締結は法的行為
この書類を結ぶという事は、契約内容に承諾をしたという証拠であり、簡単には解除できません。
なので、慎重に契約内容を確認する必要があります。
書面で締結をする意味

契約内容は非常に重要な内容のため、
「知らなかった」
「分からなかった」
などの、言った言わないの論争を無くすために存在しています。
不動産の契約について、重要事項を説明できる資格
「宅地建物取引士」という資格が必要です。
これは、国家資格に当たり、破産者や傷害罪や背任罪を含む犯罪者はこの資格者にはなれません。(正確には刑の執行から5年以上経過しないと資格者になれません)
契約内容は基本自由?(最重要ポイント)

不動産業者の仲介の元、一般の売主と契約する場合には、法令・公序良俗に違反しない限りは基本的に自由に結ぶことが可能です。
基本的に売主と買主が合意さえすれば、契約は締結となります。
「この部屋では、以前事件事故があったが、了承して買主は買い受ける」
「部屋の設備の点検・修復・交換は買主負担で行うものとする」
「当マンション内において、特別徴収金が発生する事が決定しているが、了承して買主は買い受けるものとする」
これらは、全て、有効な条件となります。
つまり、対象不動産が壊れていても、過去に事件事故があっても、近い将来特別徴収金を取られても、全て買主負担ということです。
買主が責任を被ることになります。
意外?マンションにおいて管理費等の滞納分も買主に引き継がれる。
意外な例として、上記の契約内容に加え、借りにマンションの管理費修繕積立金を売主が滞納していた場合、その支払い義務は買主に引き継がれます。
ここは、よくある注意点です。
マンション内の管理規約においても、そのような条文があり、かつ新買主には、権利と義務も売買契約によって承継されるからです。
マンションを購入する場合は、滞納が無いかどうか、よく確認しておきましょう。
トラブル発生。やっぱり契約を解除したい。

契約を結んだが、やはり契約を解除したい。
そのような事情はよくある問題です。
そのような時に、どうしたら良いのか。
相手都合か。自分都合なのか。
まずは、それらを見極める必要があります。
例えば、契約後に、説明のされていない重大な欠陥が発見された、などは、相手都合というジャンルに入る可能性があります。
契約解除について、「自分に非があるのか」「相手に非があるのか」ここが重要です。
よくあるケース。「知らなかった」
上述したように、トラブル発生時にこのような事がないように書面での契約を結んでいます。
書類に記載のある事項については、知らなかったという事は、残念ながら通用しません。
冷静になって今一度考えてみましょう。
契約解除に伴うトラブル事例、4つのパターン

- 完全なる自己都合
- 融資の不承認など外部機関による決定における自己都合
- 重要な内容を隠していた、売主(相手)都合
- 不動産業者の調査・説明義務違反
このどのパターンに入るのか確認しておくことが重要です。
①完全なる自己都合
他に良い物件が見つかった、親に反対された、契約自体怖くなった、会社の転勤が無くなった、資金計画が間違っていた。
これらは、このパターンに入ります。
このパターンの場合、契約が解除になる要因として、売主及び、不動産業者には責任はありません。この場合は、手付金放棄もしくは、契約時に取り決めのある違約金を支払い解除ができます。
②融資の不承認などの外部機関による決定における自己都合
融資の承認が得られなかった。農地転用が不許可になった。役所の許可が下りない。
これらは、このパターンに入ります。
しかし、役所などの許認可関係の場合、不動産業者の事前調査が甘かった場合もあるため、④も多少関係してきます。
しかしながら、共通して言えることは、買主に責任は無いという事です。
融資の承認が得られない場合などは、「ローン特約」により白紙解除が定められているため、金銭の負担などは無く、解除ができます。
しかし、ここで要注意。
ローン特約には、いくつかの例外があります。
故意にローンを不承認にした場合と特約期限を守れなかった場合です。
これは、特約には当たりません。
具体的な例としては、
審査後に勤務先を退職した。
審査後に無理な借入をした。(カード決済含む)
仕事が忙しく、ローン手続きが出来なかった。
建物建築の打ち合わせが長引き、ローン手続きをするための書類が遅れた。
これらは、特約に当たりません。
なぜならば、売主側になんの落ち度もないからです。

③重要な内容を隠していた売主都合
これは、相手に問題があります。
しかし、ここでの論点は、契約解除するほどの重要な問題などの線引きです。
これは非常に曖昧です。
離婚などの案件も「性格の不一致」なども離婚原因に挙げられますが、どこまでが、婚姻関係を継続できない問題なのかの線引きは曖昧です。
曖昧なため全てが正しい訳ではありませんが、経験則なども踏まえて例をあげると、
①瑕疵担保責任(見えざる瑕疵)
部屋が使えない。設備の故障。住むと危険が及ぶ。等。
これらは、特約条項で無くすことも可能なので、要注意です。
②心理的瑕疵
過去に事件・事故があった。それに伴って、心霊現象など。
これらの告知義務は売主にあります。「物件状況等報告書」を作成してもらい事前に確認しましょう。
③その他もろもろにおける「目的が達成できない事由」にあたること。
居住する。賃貸に貸す。駐車場に使う。資材置き場に使用する。
不動産の購入の目的は人それぞれかと思いますが、それらの目的が達成できない場合は、契約解除に値する問題です。
いぜれにせよ、買主は金銭的な負担をすることなく、契約の解除が可能です。
④不動産業者の調査・説明義務違反
不動産業者について、仲介における業務上、調査し説明する義務があるという事が決まっています。
簡単に言うと、不動産売買契約書と対になっている書類「重要事項説明書」の内容に誤りがある場合です。
文字通り、重要事項に謝りがあるのですから、買主は契約を金銭負担なく、解除ができるでしょう。
白紙解除、手付解除もしくは違約解除?

上記のようにトラブルが起き、契約を解除したい場合は不動産業者に伝えれば手続きができる場合があるのですが、それでも手続きが進まない場合は、内容証明など書面にて、契約解除の意思がある旨を、相手方に伝える必要があります。
しかし、解除の要因として4パターンありますが、解除の内容も3パターンに分かれます。
手付解除の意味
白紙解除ー契約を白紙に戻す。(双方、金銭負担なし)
違約解除ー違約した方が、された方に、違約金を払う。
では、手付解除とは何か。
手付金の意味
これは、簡単に言うと、「頭金」として捉えても良いでしょう。
契約締結時に、購入の意思を示すものとして売主に対して支払う金銭です。
手付解除期限
一般売主の場合、この期限に定めはありません。1週間でも、3か月でも双方が合意すれば有効となります。
万が一、期間に定めが無い場合、「相手方が履行に着手するまで」が基本です。
例えば、相手が 物件を売却する準備として、引っ越しを始めてしまったなど。
どのように行うのか。
基本的に、契約時に支払った金額を動かします。
例えば、手付金100万円だとしたら、手付解除で動く金銭は100万円です。
売主都合の場合は、「支払われた100万円を買主へ返却し、同額を買主に支払う」
買主都合の場合は、「既に支払った100万円を放棄する」
これで解除ができます。
どのような際に適用となるのか。
手付解除期限内であれば、適用できます。
相手方にその意思を伝えましょう。
要因4パターン、方法3パターン。どれに当てはまるかは問題となります。

不動産での契約解除案件ですから、当然、多額の資金が動きます。
上述した、どのパターンに当てはまるかが、論点となり、ここで問題となり揉めるケースが多々あります。
とにかく、解除原因が「自分」になりたくない。
原因が自分にあれば、責任を取らなければいけない。
それは、売主、買主、不動産業者、3者とも共通認識です。
ですので、とにかく原因が自分とならないように工作します。
これがあるので、不動産売買契約書の内容は十分に精査しなければいけません。
このような状況においては、知らなかったは通用しないのです。


解除の際、このようなトラブルにならないよう対策をする。
具体的なトラブル防止策としては、以下のようなものがあります。
事前に契約内容を確認しておく
どうしても、契約当日に契約内容を把握するのは難しいです。
特に一般の方は、法令にも慣れていないため、落とし穴を見つける事も困難かと思います。
ですので、契約書などが完成したら、一度、メールなどで送ってもらい、契約前日までに確認をしておくことをおススメ致します。
手付金(頭金)を払い過ぎない。(要注意ポイント)
当然の事ながら、万が一、契約解除の内容でトラブルが起きた場合、支払った手付金がスムーズに返却されることはありません。
話が元に戻ってしまいますが、売買契約自体が法的行為であり、いずれにしても、簡単に解除する事は出来ないのです。
ですので、予め、リスクの軽減の意味を込めて、手付金は払い過ぎないように気をつけましょう。

まとめ
不動産売買契約は法的行為であり簡単には解除できない。
なので、契約内容には十分注意する事が必要である。
契約解除の場合は、4つの要因と3つの内容、どれに当てはまるか確認すべき。
方法は、解除の意思を相手に伝えること。(口頭でも良いが、書面だとなお良し)
トラブルにならぬよう、契約内容を事前に確認、手付金を払いすぎないなどの対策をしておきましょう。
無事に引き渡しまで終わる事をお祈りしています。
関連記事



